設置事例
INSTALLATION CASE
山田医療照明製品の設置事例をご紹介いたします。
LEDと機器の特性を活かした手術室の照明環境の構築
麻酔科部長 水戸野 裕之先生 手術部看護部 袖山師長
今回の機器導入に至る経緯や手術室の照明環境に関して手術室 麻酔科医師 水戸野先生と手術室 看護師長 袖山師長にお話しを伺ってきました。
-今回の機器の導入に至る経緯を教えて頂いてもよろしいでしょうか。
(水戸野先生)
最初に無影灯をLED化することを予定していました。その後、天井照明をLED化しようと考えていました。当初、天井照明は単純に蛍光灯をLEDに変えることしか考えていませんでした。LEDの点光源のリスクがあったのは把握していましたが詳しくは理解していませんでした。そのような中で実際に各社のショールームで実機を見たり、提案を通して徐々に理解していきました。一般的なLEDがギラギラしている理由もこのような実機の確認や仕組みを聞いて初めて知りました。現在普及している多くの無影灯はLED光源の使用によってこれまでのハロゲン光源の無影灯よりも照度が高くなっています。山田医療照明の無影灯はパープルLEDによってブルーの強さを抑制しています。色温度に対する影響やLEDの種類によってそれぞれの影響があることを教えてもらい理解していきました。
-執刀医の先生方は高照度下で長時間 術野を集中して見続けています。目への影響も懸念されますが実際に機器を使って頂いた感想はいかがでしょうか?
(水戸野先生)
一般的なLED照明器だと目の奥が疲れる主観的な評価はありましたが今回CJ(無影灯)を使用してみてその疲労が減ったように感じます。
(袖山師長)
無影灯下の高照度の術野から周囲の低照度下に目をそらしても疲れないように感じます。明るいですが疲れない。少し通常よりも照度を上げた状況をタッチパネルでプリセット設定記憶して操作を行うケースもあります。
Before 改修前 天井照明は蛍光灯、無影灯はハロゲン光源を使用
After 改修後 天井照明と無影灯はLED光源を使用
-統括操作パネル(CKC)のその他の機能は使用していますか?
(袖山師長)
患者さんが入室しているときや麻酔から目が覚めるときに天井照明の色モードを切り替え落ちつく暖色にしてまぶしくないようにしています。
これまで無影灯のスイッチは術式によっては主灯と副灯の明るさの調整を両手を使用して操作をしていましたが今は主灯と副灯を同時にリンクさせて一つのボタンで操作できるので片手で操作しています。
-機器の設置から一か月程経過しましたが現場の評価はいかがでしょうか。
(袖山師長)
蛍光灯を変えなくてよいのはありがたいですね。これまでは手術の途中に無影灯の電球が切れてしまうこともありましたがLEDになってそれが無くなったので良かったです。
(水戸野先生)
手術室に入ったときのまぶしい感じがないです。無影灯を点灯させてもまぶしい感じが本当にないです。点灯しているのかわからない位です。
また無影灯のフォーカス機能に関して焦点を合わせて口腔内領域の奥の狭い暗いところまで光が届くようになりました。当初、直進性のある無影灯かフォーカス機構のある無影灯かで迷っていましたが実際にフォーカス機構の無影灯を使用して外科医からこのような意見が上がっています。
-照明の色が人に与える影響について感じられることがありましたら教えて頂けますでしょうか。
(袖山師長)
患者さんが入退室の時は患者さんに配慮して天井照明の色を落ち着いた色味にして、医療スタッフもそれを見て「手術がはじまるな。」とわかります。
照度は手術中は交感神経を活発にする目的だと思うのですが照度は明るく、ただし明る過ぎずに良く手術室の環境(患者さんや機材)が見えるようになっていると思います。
-今後の病院施設の照明環境について考えられることはありますか?
(水戸野先生)
手術室だけではなく廊下などの全体のバランスも大切だと思います。最近の病院建築の設計は外から外光を取り入れる場合があります。色味の変化なども医療スタッフの労働環境としては重要だと思います。手術室では患者さんがほとんど麻酔にかかっているのでサーカディアンリズムを考慮した照明環境は難しいかもしれませんが病棟では良いかもしれません。
後記.
今回の水戸野先生と袖山師長のインタビューを通じて無影灯の機能をはじめ各種のLEDが持つ特性とそれらがどのように医療スタッフ、患者様へ影響を与えるのかを事前に調査・比較して理解されたうえで導入されたことで機器設置後も納得できる照明環境を構築されたことを伺い知ることができました。
病院西側から望む新緑の真田公園と真田宝物館、遠方に北アルプス。
新生児集中治療室(NICU)をご提案
新生児集中治療室(NICU)は様々な疾患を抱えた新生児の治療空間として、新生児と医療行為を行う環境に配慮した光環境づくりが必要になると考え、照明シミュレーションソフトを用いて照明設計をご提案致しました。
ご提案内容
瞼の薄い新生児が照明による眩しさを感じにくいよう、間接照明を用いたグレアレスな明かりと、処置時には十分明るさを保てるベース照明の併用。
また、ベース照明は、皮膚が薄い新生児の肌色の変化から正しく状態を観察できるよう、視認性を高める高演色な光環境をご提案致しました。
手術室全体の光環境をご提案
- 設置施設様
- 医療法人財団 中山会 八王子消化器病院(東京都八王子市)
- 設 置 場 所
- 手術室
- 設 置 機 種
- 製品名 IXM-CJ 型番 CJ1612 / 低ノイズLED管(天井照明)
- 病院様情報
- 診療科目:消化器外科・内科、肛門科、麻酔科
手術件数:560件/年間
無影灯だけではなく、医療空間全体の光環境をご提供できる提案に対して病院様に評価していただきました。
【無影灯:今までと同じ使い勝手で操作可能】
以前より弊社のハロゲン無影灯をお使いいただいており、今回、弊社IXM-CJを設置させていただきました。展示会場でIXM-CJをご覧いただき、その後、病院様の手術室でデモンストレーションを実施いたしました。ハロゲン電球に近い「医療用LED」の光の質と今までお使いになっていた無影灯と同じ機構のため(アームの取り回し、焦点調整など)、現場様の混乱なく引き続きお使いいただける点を評価していただきました。
【天井照明:低ノイズLEDへ交換】
今回は合わせて手術室内の天井照明も設置させていただきました。病院様では蛍光灯を長年使用し、手術室のLED化を検討しておりました。LED照明灯が及ぼすノイズの影響も懸念しており、医療空間でも安全にお使いいただけるよう、医療機器に影響を与えにくい低ノイズの直管型LEDをご提案し、設置いたしました。
医療機器をネットワークで連携・接続「スマート治療室」
本プロジェクトにあたり、現場での各企業の機器の設計、設置施工を取り仕切って頂きました女子医科大学 岡本先生に本プロジェクト「SCOT:Smart Cyber Operating Theater」の背景と照明の可能性、様々な医療機器の垣根を越えた医療ロボットと未来について伺ってきました。
―SCOTでは有機EL(OLED)を使用し、多彩な色で手術室を演出していますがなぜそのようにしたのでしょうか。
岡本 淳 先生
先端生命医科学研究所 (東京女子医科大学)大学院医学研究科 先端生命医科学系専攻 先端工学外科学分野
医療に関わるロボット・メカトロニクスの研究.脳神経外科の手術支援ロボット,心臓外科の手術支援ロボット等の開発に携わる。
岡本:「今回は照明の雰囲気を演出する役割にしました。このように青色にして驚く方はいらっしゃいますが、臨床の場としては近いうちにOPe-LiNKとつないで危ないところを触っていると照明の色が変わる、状況や場の空気を照明の色を変えることで演出するようにしたいと考えています。執刀医が真剣になると口数が減るそうです。でもそのとき周りのスタッフは気づいていない。術者でしか気づかない注意すべき局面を環境照明の色を使って切り替えてその場にいるスタッフ皆が状況を共有できれば良いと思います。」
―病院のシステムは非常に複雑であり病院ごとにやり方に合わせるとさらに複雑になる。ワークフローを標準化させることの必要性。
【写真説明】
医療機器の基本データや術中画像、手術器具の位置情報、患者の生体情報などを「OPeLiNK(オペリンク)」と呼ぶシステムで統合。
それに基づき、手術の情報を統合的に表示したり、手術をナビゲートしたり、機器の稼働状況を監視して不具合を解析したりする。
手術中に集めたさまざま情報は、術中に起きた事象の相関関係を解析するためのデータベースとして活用し、治療改善につなげる。
岡本:「今の病院システムは非常に複雑です。電子カルテ、放射線 電子カルテ、PACS、麻酔記録、患者さん情報はネットワークIDで全てつながれていて、それらの情報を可能であれば一度の入力で済ませたい。システムを効率的に運用するうえで病院ごとのやり方にあわせるとシステムは複雑になってきます。ワークフローを標準化して病院のやり方もそれに合わせてシステム入力するという事例は増えてきています。OPの段取り、どの機器に何を入力するか。そのデータを何に使うのか。その後の手術室の情報管理も大切で、そこまで決めていきたいと考えています。SCOTはその段取りを作っていきたい。無影灯は必ず手術室には設置されていますね。無影灯などもその段取り通りに動いてくれたら良いと思います。ネットワーク化して有機的に効率よく動かす。手術の流れが出来ていてトリガーをどこがかけるかなんですが照明がトリガーとなるとわかりやすいと思います。手術のシチュエーションを表現するものですし5ALA、インドシアニン検査などは照明を消したりします。オペレーティングシアターですからひとつの場面の転換というか、手術のどのシーンかを分かるにしたら良いと思います。」
―今後の日本の医療機器メーカーに求めるものとは?
岡本:「やはりロボットでなくても良いのですが新製品を出してほしいですね。新製品というのは改良品でなくて新しいもの。10年以上新しいものが会社から出てこないと会社の能力が無くなっていると感じてしまいます。開発スピード。何か行けるぞ!というときのフットワーク、段取り、が無くなっている。私はロボット屋ですがロボットでなくても良いのですがそういうのは気にします。日本は産業用ロボットが得意だと思います。部品を作るなど。例えばマスターマニュキュレーターのところとかすごく良くできていると思います。パッシブに動いているようでモーターのところはアクティブに動いてジワーッと動かしている。ダヴィンチのようなロボットとは異なるのですが環境のロボットや、最近の歌舞伎舞台とか場面転換とか全てプログラムされています。ディズニーランドもそうですね。照明が変わる。このような演出は臨床の役にも立つのではないかなと思います。」
岡本:「日本が本当に力を発揮するのはロボットでは無くて部屋作りだと思います。カーエアコンは1分に1個出来てるということは1分に1個車が出来ているということです。トヨタのかんばん方式などは在庫を持たずに組立の工程をどんどん短縮して徹底した効率化を実現しています。ラインをロボットがチェックして検品もロボットがチェックしてこれをORiNにつなげています。0から1を生み出すのではなく、改善ですよね、日本の得意な。そのようなコンセプトで手術室に応用することも可能だと考えています。インダストリー4.0などヨーロッパでいわれていますが OPeLinkでガスの管理、空調、照明もそのシステムの一つとなっていくに統一させてまとめていきたいですね。」
「口腔外科で活用」
移転新築を機に、白を基調とした高級感あるデザインの内装へとリニューアルされた梶が谷歯科医院様。
その中でも、ひときわ特徴的な空間であるガラス張りの特診室(手術室)に、IXM-CR(CRV04V)は設置されています。
口腔外科で使用する無影灯の選定に際しては、院長先生自らMEDICAL LIGHTING LAB.へとご来場。医療用LEDの柔らかい光とデザイン、そして、国産製品の「質」と「メンテナンス対応力」を高く評価いただきました。
空間のデザインを損なわないIXM-CRのデザインは、納入後も好評をいただいています。